2011年7月21日木曜日

河村市長の「名古屋独立採算制」を検証する

昨日(7/20)、河村市長は、総務環境委員会に出席し、中京都構想について語りました。
河村市長の発言で、私が気になったのは、「独立採算」という言葉です。
この言葉について、拙い考察をしてみます。

◆前提
河村市長が主張する「独立採算制」を、私は次のように理解しています。
  1. 真の地方自治を実現するには、財政の独立性を確保することが重要である。
  2. 名古屋市が国に代わって税を徴収し、国からの請求明細に基づいて対価を支払う。
これを前提として論を展開します。

◆国の財政
SankeiBiz(サンケイビズ)に掲載された記事「国の借金、1千兆円に迫る 国民1人当たり783万円 23年度見通し」によると、平成23年度末の国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高は、997兆7098億円。
国の人口を1億2700万人として換算すると、783万円になります。

また、平成23年度の一般会計総額は92兆4116億円であり、国民一人当たりで換算すると、72万7650円となります。

◆名古屋の財政
Yahoo!ニュースに掲載された中央公論の記事「やっぱり名古屋は減税だぎゃあ(その2)=名古屋市長・河村たかし」の中で、河村市長は次のように述べています。
名古屋市は国税を一兆五〇〇〇億円払っているのに、国からもらっているのは一五〇〇億円なので、一兆三五〇〇億円は国へ上納しています。

また、名古屋市公式サイトのページ「名古屋市:今後の財政運営について(市政情報)」によれば、名古屋市の市債残高は1兆8503億円です。


◆検証
国民一人当たりの一般会計 72万7000円
国民一人当たりの国債残高 783万円
名古屋市の人口 225万人

この数字を使って「名古屋の独立採算制」を検証します。

まず、225万人の名古屋市民が72万7000円の一般会計を負担しているので、名古屋市は1兆6372億円を国に支払うことになります。
河村市長が「国に上納している」と表現する1兆3500億円より2872億円も負担が増えてしまいます。

また、国の債務残高997兆7098億円は名古屋を含めた”オールジャパン”で借りた借金です。
名古屋がオールジャパンから離脱するなら、応分の借金は持って出るのが筋でしょう。

225万人の名古屋市民が、783万円の借金を持って出ると、17兆6175億円の借金を負担することになります。
現在名古屋市が抱えている借金、1兆8503億円の9.5倍です。
たとえ名古屋市内に存在する国の保有財産を、すべて名古屋市が譲り受けても帳尻は合わないでしょう。
それどころか、維持管理の責任も引き受けることになり、さらに支出は増え、損をすることになりかねません。

◆まとめ
以上、金勘定が苦手な私にしては珍しく、具体的な数字を上げて検証してみましたが、実のところ、具体的な数字を計算する前に、このような結果になることは予想していました。

政府は、国の仕事・国の事業だと思うから、国の責任で赤字国債を発行し、事業を執行しているはず。
『名古屋のことは、名古屋が責任を持つから、独立させてくれ』と宣言する自治体の代わりに、借金をしてやる必要なんて、どこにもありません。

そもそも、1兆3500億円上納してると、胸を張る態度が誤りだったと、私は思います。

河村さんが市長でいる間に、名古屋市の独立採算制が実現するなんて、誰も考えていないでしょう。
『どうせ実現しないから』と、絵に描いた餅ばかり口にするのはもう止めて欲しいと思います。

※平成23年度末の数字と平成22年度末の数字が混在していますが、どちらの数字を使っても、主張の論旨を変えるほどの差異は生じないため、リンク先の数字をそのまま使用しました。

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