2011年10月13日木曜日

『減税の財源はすべて行革。総務省のお墨付き』のウソ

しろクマーさんが、片山さつき議員の質問を記録した議事録をツイートしておられたので、便乗します。

以下に引用する内容は2010年10月21日に、第176回国会 参議院で開かれた総務委員会の会議録です。
  ※原文:http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/176/0002/17610210002002a.html
   改行を変えています。
片山さつき君
自由民主党の片山さつきでございます。

自由民主党を代表して質問をさせていただきますが、今日は大変楽しみにしてまいりました。
片山総務大臣は旧自治省で長らく税務畑を歩まれ、鳥取県でも八年間知事を務められ、また近年は大学で地方自治の教鞭を執られておられて大変多くの論文も出していらっしゃいます。

今日はお手元の配付資料に最近の片山大臣の名古屋市のねじれをどう解決するかという論文も付けておりますが、私は、この菅内閣において菅総理が、たっての御希望で御任命された唯一の民間入閣である片山総務大臣は恐らく内閣随一の論客ではないのかなと思って、その所信に対して質問させていただけることを大変光栄に存じております。

大臣の所信の中で大臣は、住民自治の観点から、地方自治体自らが納税者に向き合い、納得を得ながら財政運営を行うことを旨とし、地方税、地方交付税、地方債などの制度全般にわたり、地方自治体の自主性、自立性を高める観点からの見直しに取り組むと、大変意欲的に述べていらっしゃいます。

これ、一見非常にいいお言葉でございますが、今日はその底流に流れているものは何なのかということも含めて是非質問させていただきたいんですが、この論点が恐らくすべて網羅されているであろう壮大な実験が名古屋において行われているわけです、言葉を換えれば。
恐らく東京都と並んで財政的な自立が中期的にできる、あるいはできたかもしれない、今となっては過去形かもしれませんが、その可能性がある名古屋でのことでございます。

この河村市長の減税、リコール問題につきましては、衆議院議員時代も民主党の衆議院議員でいらしたわけですが、大変有名な方で、「TVタックル」、「朝ズバッ」などでも有名人であった河村たかし市長が非常に面白い騒ぎを名古屋で起こしているというような受け止め方が恐らく最近までは大勢だったんだと思いますよ。

ただ、この総務委員会はそんな中でもこの問題を取り上げているんですね、衆でも参でもです。
特に、海南の市長もしておりました衆議院の我々の同志であります石田議員は、どのぐらいの相場観においてこれを総務省が認めるのかというのは非常に重要だと、波及するということを言っているわけですよ。
この波及というのはどういうことかと申し上げますと、お手元の資料に新聞記事を付けておりますが、後ろから三番目、名古屋市長、議会に云々ですね、この右下の、ちょっと字が小さいんですけれども、名古屋では確かに先般の市長選の際に一〇%減税を公約して現市長が当選されたのは事実です。
その後、減税を公約に掲げて当選する首長が続出したんですね。
これも客観的に事実ですね。
そのうち結果的にやっているのは名古屋が最初であって、その次に半田がおやりになった。
半田の場合は交付団体になったんですね。
なったことの機会をとらえて、今回はもう減税はしないということになったというお話を新聞報道でも聞いておりますし、私ども自民党の委員会でも総務省の方からこのような御報告を受けております。

今年の春に、片山当時教授は、私どもの方のお願いもありまして、この委員会で参考人として知見を述べていただいているんですが、その中で、この地方債制度につきまして、地方債について国がいろいろと口を出すのが非常におかしい、大変屈辱的であるというようなことをおっしゃっているんですよ。
本当にそうなんでしょうか。

この一枚目の表にございますが、新しく、十八年以降こういう制度になったんですね。
これは課税自主権を広げるようなところから、全面的にある程度自由化するような形でやってきたわけですが、この上の段で、総務大臣と協議する、総務大臣の同意のある場合に発行する。
今のところ、ほとんどの地方債はこの一番上の形で発行されているんですね。
同意のない場合に、同意がなく地方債を発行した例はあるのかと昨日事務当局に聞きましたところ、全く五年間でないということでした。

私も習性上、財務官僚だったんですぐデータを調べるものですから、鳥取県の財政状況について調べさせていただきました。
片山知事の就任、平成十年度、決算、財政力指数〇・二六〇一五、離任時、十八年度、財政力指数〇・二五六七九。
地方債残高、片山知事の就任前、四千六百二十五億円、片山知事の離任、十八年度ですね、決算、六千百二十二億円。
地方税収入、十年度決算、六百四十三億円、十八年度決算、五百六十九億円。
つまり、この時点において鳥取県は税収の十一倍の借金をためておられますが、通常こういった財政状態で一体どうやって銀行やマーケットからお金を借りるのかなと思うわけですが、現行の地方財政・税制度は非常に良くできておりまして、ミクロ、マクロで財源保障がされているんですね。
つまり、ここで同意を得れば返済財源は地財計画の中でも見てもらえるし、基準財政需要の中に入れてもらえるんですよ。
それはもう皆さんよく御存じのことで、この委員会は首長さん、議員さんの出身者が非常に多いんで。
だから、借りられるんですね、この状態でも。
つまり、ずっと不交付でやれる東京都、これは一人当たりの税収が鳥取県の二倍ありますが、東京都も鳥取県もほとんど同じ金利でお金が借りられるということは通常はないんであります。

にもかかわらず、この地方債において、財政のチェックも含めて何もチェックをしないということをもしも目指しておられるのであれば、財政自主権は私は個人的にも賛成ですし、自由民主党も道州制の導入も含めてそういった方向に行こうと頑張っているわけですが、自立というのはやはり自分で賄える部分があってのことであって、ほとんどの自治体が交付税依存体質である場合に、地方債制度への国の関与を徹底的に否定される御発言を総務大臣になってもお続けになるつもりなのか、まず大臣に伺いたいと思います。
国務大臣(片山善博君)
片山議員の御質問の中にはいろんな要素が盛り込まれているんです。
やっぱり一つ一つの要素を分解して見ないといけないと思うんですけれども、私が地方債の関与について否定的だということは、交付税と今地方債が非常に絡み合っていまして、今の現状で全くフリーという、そんなつもりはありません。

まず最初、交付税と起債を関連させないように、要するに、先に地方債を発行して後で交付税で補てんしますというような今制度がありますから、そんなことをやめなきゃいけないというのがまず先行しているんです。
その上で、地方債は地方債、地方交付税は地方交付税となった段階で、じゃ地方債をどうするのかといいますと、今のように、一件一件の事業について、一つ一つを微に入り細をうがって国がいいの悪いのと言うような、そんなことはやめるべきだと思うんです。

じゃ、全くフリーにしていいかというと、それは私も必ずしもそうは思っておりません。
自治体の規模に応じて、例えば財政力とか人口とか、いろんな指標があるんでしょうけれども、一つのある自治体については、例えばどれぐらいまではもうフリーに借りてもいいと。
しかし、それを超えるんであれば何らかの関与があると、こんなことでもいいと思いますし。
現に今、地方公共団体の財政の健全化に関する法律といって、夕張市の財政破綻に端を発してできた防止法がありますけれども、その中では、自治体の財政力とか財政規模に応じて一定限度以上の債務残高がたまりますと黄信号が出る、それなりの国は関与はする、赤信号が出る、もうそれは再生計画を作らせるというようなものがあるんですね。

そういうものがもう包括的にありますから、個々の個別の事業について、これはいい、あるいは悪い、しかも、その事業の中でも主体施設はいいけれども、門、さく、塀はどうだとか、そんなことまでやる必要はない。
しかも、それを総務省系統で、市町村の起債ですと都道府県がやり、それを総務省に持っていく、さらに市町村は財務局を通じて財務省に持っていくという二重の関与になっておるわけです。
こんなことはやめるべきだと。
あくまでも、包括関与はいいけれども、個別の関与はやめるべきだというのが私の考え方であります。

あと幾つかおっしゃった中でいろいろ御答弁申し上げたいことがありますが、取りあえず私の答弁は、今のところここまでにさせておいていただきたいと思います。
片山さつき君
個別の議論にはいろいろ私も今伺っただけで論点はあるなと思いましたので、この総務委員会はたくさんの一般質疑ができるなと思いましたが、まず、この図でいきますと、この下のような制度を否定しておられるわけではないということは分かりましたので、そこは多少安心したわけですが。

次に、減税問題ですね。
これは確かに自民党時代に通した法律ではあるんですよ、地方税法で。
それまで通常の税率、財政上の必要があると認める場合においては変化させることができたんですが、財政上だけじゃなくて、これは財政上その他の必要があると認める場合ということにして課税自主権を若干広げたと。
それを、じゃ一体どういう基準で認めるのかについては自民党の同志たちもいろいろと、どの辺が相場観なのかについては聞いてきたんですね。
それについてはお答えがないままに前国会は早めに閉じられちゃったと。
その後、ずっと国会をやっていないものですから、それが許可された、どういう形で許可されて何がそのレゾンデートルになっているのか、ベースになっているのかについては国会でやるのがこの場が初めてになったわけですよ。
そのことについても、私はこれは制度問題にかかわることなので委員会軽視じゃないのかなと思いますが、そうなったんだから仕方がないんですが。

この平成二十二年度地方債同意等基準、平成二十二年総務省告示第百三十三号、これは平成二十二年にできたから平成二十二年告示なんですね。
つまり、法律的には地方税の個人住民税を下げるということはできたわけだけれども、前の改正でね。
ところが、告示は二十二年にできているんですね。
これはいつ、どうやってお作りになったんですかね。
国会の方でこの議論が真剣にされたということを私は余り承知していないんですが、もしされていたら教えていただきたいんですが、二十二年の告示はどういう討論、議論によって何日にできたのかなと。

いずれにしても、このできたものについて、そこに書いてあるんですが、標準税率未満により許可を要する場合、つまり、今回の名古屋市の起債は許可なんですね。
同意じゃないんです、許可したんですよ。
非常に重たい判断を総務省はしたわけですね。
その条件として書いてあるのは極めてふわっとしたことで、下の二行、当該普通税の税率が標準税率未満であること、六%のところを五・四%掛けたということですから名古屋市はこれに該当しますが、未満であることによる世代間の負担の公平への影響や地方税収の確保の状況等を勘案して地方債を許可するものとするということで、今年許可しちゃったんですね。
原口総務大臣のときに許可したわけなんです。

その許可したものを、私はどういう形のもので許可したのかという書類を実はいただいて見ちゃったんですが、これがどうも非常に私の目から見ると甘いんじゃないのかなというものですね。

行政改革を前提にしているというんですが、百二十ぐらいの項目があるんですけれども、まず、百六十五億円ぐらいの減税財源の中で資産の売却が三十億円ぐらいあるんですが、昨日の夜、事務方に聞いたところによると、これが本当に計上されている価格査定がいいのかどうかについては全くチェックしていないと。
地元の名古屋の方にお伺いしたところ、まだ売れていないと。
これは決算になって売れなかったらどうするんですかねと。

それから、行政改革の努力ということをおっしゃるんだったら、当然、定員削減はどのぐらいやったのか、それから天下り団体に行っている補助金をどのぐらいカットしたのかというようなことが論点に出てきて当たり前なんですよ。

またこれ、私、見付けちゃったんですけれども、原口大臣のときに、行政は、このときは事業仕分非常にはやっていたころですから、チェックしなきゃいけないということで、原口大臣の指揮の下に、これ書てありますね、原口大臣の指示により政務三役が調査依頼をして云々云々ということが書いてありますが、地方公務員給与のわたりの再調査を行っております。
その中で、わたりに課題のある団体の一つとして名古屋市が指摘されております。
そのことは当然大臣は御存じだと思いますが、実は私が昨日事務方から説明を受けた名古屋の行財政改革という、これだけお金を削り出したのだから当然減税は認めてくれよという、申請書の中にはこのわたりを改善したという記述がありません
そこが、同じ総務省の中で一体何を見ていたのかなと思うわけですけれども。

まず、これ確認ですが、このわたりの再調査結果について指摘されているんだから、当然これをやらない限りは減税は認めないという判断を原口大臣はできたはずですが、なぜしなかったんでしょうか、それをお答えいただきたい、大臣。
国務大臣(片山善博君)
これは、そのわたりの是正の問題と今回の市民税減税に伴う地方債が許可制度に移るということとは直接連動していないんです。
地方債というのは、さっき片山議員おっしゃったように、基本的には同意システムです。
だから、同意がなくても発行できるという、こういうことになっています。
ただし、固定資産税でありますとか、それから住民税でありますとか、これ標準税率というのがありまして、これを下回った場合にはその地方債制度が同意制度から許可制度に移るという非常に厳しい制度になるわけですね。
これをじゃどういう場合に許可するのかということでさっきお触れになった同意基準というのがあるわけです。

いろいろ書いていますけれども、ありていに言いますと、減税したことによって、そのことによって地方債の発行額が増える、そのことによって増える、これは認められないということなんです。
もっと分かりやすく言いますと、これ大きな政府、小さな政府と言ってもいいかもしれませんけれども、 減税もしないで歳出も削減しないというケースと、 歳出は削減してその分を減税に回すというケースとこれ どちらを選択しますかということで、それはどちらであっても 債務の残高は変わらないわけです。
それならば、 自治体の方の選択に任せたらいいのではないかということなんですね。

ここで、例えば、議員は多分もっとその許可基準を厳しくすべきだとおっしゃるかもしれませんけれども、じゃこういうときに許可しないというと、じゃ使えばいいんだろうといって歳出の方のカットもしないで税率もそのままにしておく。
それよりは、市民から見れば 歳出をカットしてその分を本来は、本来は 借金の返済に回してもらいたいけれども、選択して そうはしないで税率を下げるという、そういう 選択肢もあってもいいのではないかという多様な選択を開いたということだろうと私は理解しています。
その中で、減税をしたけれども、そのことによって起債を増やしていないということが認められたので原口大臣のときに許可をされたということだと思います。
片山さつき君
今非常に大臣、重要なことをおっしゃったんですけれども、この市の予算は全体として一般会計で四百三十七億円増えているんですね。
さらにこれ減税百六十億円して、減収も七十億円しているんですよ。
大臣は今同意の説明をされたけど、同意のことは今全然聞いていないんですね。
この団体は許可ですから、許可、つまり減税したんだから許可、これは法制上許可なんですよ。
同意の話はしておりません。
この許可という非常に重い行為をなさるときに、一般会計の予算が四百三十七億円増えて減税が百六十億円、そして今この非常に厳しい円高不況をもろに受けているのが名古屋ですから、法人税収がたんと落ちていますから、減収七十億円の中でここに書いてあるような税収確保努力をしたのかどうかなと非常に疑問に思いますが、いずれにしても七百億円近い予算を増やしており、今年は不交付団体が交付団体となって三十二億円交付税をもらっているわけですね。

ですから、この半田市、さらにほかの県でも私いろいろな機会に、仮に交付団体に転落するということが分かった場合に、それでも減税を首長さんとしてやりますかというお話を伺っているんですけれども、まさにこの半田市長がおっしゃったのと同じようなことを言っていますよ、県民は理解しても国民は理解しないだろうと。
交付税は自分の地域だけから来るものではないから。

というようなことも考えて、その辺が、自立とか自主とかいうことを一体どういうふうに考えているのかと。
地方自治体がその地域のエリアだけで財政的に全く独立できるならいいけれども、そうじゃないと、あなたは最初の質問に対してそうじゃないという制度を前提にしてお話をされたんだから、これは非常に矛盾しているんじゃないかと私は思いますし、さらに、原口大臣が認めた理由については、国会においては全く質問する権利もないまま、選挙もあり、国会は勝手に早く閉じられたものですから、終わっちゃったんですね。
ですから、これは、参考人を呼んでも、徹底的にこの項目が本当に一つ一つ行財政改革に資するものになっているのか検証しないといけないと思ったんですね。

というのは、まず、この中でもっと問題だと思うのは、もうじき例えば耐用年数が来るとか、整備の必要があるといった費用を先に送っているんですよ。
これは単年度だったからいいのかもしれないですけれども、恒久だったらこれは先送りなんかやっていいわけないんじゃないんですか。
先送りの財源も入っているんですね。
そういったことも含めて、しかも福祉関係の項目がある程度切られていますが、増やしている項目も福祉関係なんですよ。
ですから、それを一つ一つつなぎ合わせて、こちらで切ってこちらで増やすということを本当にやっていないのかについては何かのチェックをしたのかと言ったら、事務方は、全然やっておりませんということでした。

いずれにしても、ちょっとこれ後の質問ができなくなってしまいますので、このことについてはまた継続して一般質疑の中で、地域主権の法案をまたおやりになるということでしたら、これは徹底的にやらせていただきたいと思います。
河村市長は、平成22年度に実施された名古屋市の減税は総務省の厳しい審査の結果許可された、と主張しています。
しかし、このやりとりを読むと、本当に厳しく審査したのだろうか、と疑わしくなります。

考えてみれば、地方自治体の予算や財政は、その自治体の議会が詳細にチェックをするはずです。
標準税率を下回る自治体の予算を、総務省が細かくチェックし直すとしたら、二度手間・二重行政ではありませんか。

このように見ていくと、総務省によって起債が許可されたことは、減税の財源を全額行政改革によって生み出したという主張の根拠にはならないと、私は評価します。

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